静水圧とシステイン添加によるアクリルアミドの生成抑制

100 MPa未満の静水圧がアクリルアミドの生成とメイラード反応に及ぼす効果を,pH 9.0の等モル濃度のアスパラギン–グルコース水溶液を用いて検討した.常圧,60または90 MPaの圧力下で70℃,72時間までの反応を行い,アクリルアミドの生成量,メラノイジンの生成量,反応後のpHを測定した.メラノイジンの生成との比較によって,アクリルアミドの生成は,圧力保持により相対的に抑制されることが明らかとなった.また,同試料にシステインを添加して90 MPaの圧力下で70℃,24時間反応させた場合,圧力保持の有無に関らず,アクリルアミド生成が著しく抑制された.上述の結果に基づいて,圧力保持とシステイ...

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Published inJapan Journal of Food Engineering Vol. 22; no. 4; pp. 87 - 101
Main Authors 五味川, 里子, 小黒, 麻美, 佐藤, 眞治, 前川, 博史, 山﨑, 彬, 小林, 篤
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本食品工学会 15.12.2021
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ISSN1345-7942
1884-5924
DOI10.11301/jsfe.21593

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Summary:100 MPa未満の静水圧がアクリルアミドの生成とメイラード反応に及ぼす効果を,pH 9.0の等モル濃度のアスパラギン–グルコース水溶液を用いて検討した.常圧,60または90 MPaの圧力下で70℃,72時間までの反応を行い,アクリルアミドの生成量,メラノイジンの生成量,反応後のpHを測定した.メラノイジンの生成との比較によって,アクリルアミドの生成は,圧力保持により相対的に抑制されることが明らかとなった.また,同試料にシステインを添加して90 MPaの圧力下で70℃,24時間反応させた場合,圧力保持の有無に関らず,アクリルアミド生成が著しく抑制された.上述の結果に基づいて,圧力保持とシステイン添加によるアクリルアミド生成抑制効果を,アクリルアミドを比較的多く含む黒糖(Non-centrifugal cane sugar,NCS)水溶液(pH 5.5)を用いて同様の加圧加熱反応により検証した.システイン添加は,NCS水溶液の含有するアクリルアミドを低減し,加熱反応に伴うアクリルアミド生成を抑制した.また,NCS水溶液の圧力保持はアクリルアミドの生成を促進したが,高濃度のシステイン共存下での圧力保持は,アクリルアミドの低減を促進した.これらの結果から,食品の加工で起こるアクリルアミド生成やメイラード反応は,静水圧やシステインの添加で制御できる可能性が示唆された.
Bibliography:ZZ20014033
940685
ISSN:1345-7942
1884-5924
DOI:10.11301/jsfe.21593