牛臍血管の自然断裂部における肉眼的および組織学的研究

牛の分娩時における胎血管の自然断裂機構および止血機転について検索する目的で自然分娩した乳牛(ホル種)64頭の肪血管について肉眼的, 組織学的に観察した. 臍血管は新生子牛体外の臍輪部付近においてほぼ一定の部位で断裂し, その断端は動脈では円錘状, 静脈では紡錘状を示すことを認めた. 臍血管の組織所見は内, 中膜における高度な断裂崩壊像が断端の一部に限局して認められ, この変化は中膜における筋線維と弾性線維の構成の相違に基ずくことを確認した. すなわち輸走筋と縦走筋の両筋線維が交錯する混在筋層の形成は中間部および胎盤側では明瞭な連続性を示すのに対し, 断端側では不明瞭であり, また輪走筋層におけ...

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Published inJapanese journal of veterinary science Vol. 43; no. 5; pp. 715 - 719,723
Main Authors 佐々木, 博一, 南, 三郎, 佐藤, 裕和, 永原, 美治, 大久保, 吉啓, 原田, 護, 津村, 巌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 01.10.1981
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ISSN0021-5295
1881-1442
DOI10.1292/jvms1939.43.715

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Summary:牛の分娩時における胎血管の自然断裂機構および止血機転について検索する目的で自然分娩した乳牛(ホル種)64頭の肪血管について肉眼的, 組織学的に観察した. 臍血管は新生子牛体外の臍輪部付近においてほぼ一定の部位で断裂し, その断端は動脈では円錘状, 静脈では紡錘状を示すことを認めた. 臍血管の組織所見は内, 中膜における高度な断裂崩壊像が断端の一部に限局して認められ, この変化は中膜における筋線維と弾性線維の構成の相違に基ずくことを確認した. すなわち輸走筋と縦走筋の両筋線維が交錯する混在筋層の形成は中間部および胎盤側では明瞭な連続性を示すのに対し, 断端側では不明瞭であり, また輪走筋層における弾性線維の密な分布所見も断端側では認められなかった. 以上の所見から臍血管の断裂機構と止血機転において, その組織構成は重要な因子と考えられた.
Bibliography:ZZ00021048
240397
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.43.715