ブドウ新品種‘クイーンニーナ’

1.‘クイーンニーナ’は,果樹試験場安芸津支場(現農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において,1992年に「ブドウ安芸津20号」に‘安芸クイーン’を交雑して得た実生から選抜された,赤色の大粒ブドウである。2004年より「ブドウ安芸津27号」の系統名を付けてブドウ第11回系統適応性検定試験に供試し,果樹研究所を含む全国37か所の試験研究機関において特性を検討した。2010年4月に平成21年度農林水産省農林認定品種として登録され,2011年3月に登録番号20733号として種苗法に基づく品種登録された。2.樹勢はやや強い。系統適応性検定試験における発芽期および開花期は,‘巨峰’よりいずれも2日...

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Published inKaju Kenkyuujo kenkyuu houkoku no. 15; pp. 21 - 37
Main Authors 佐藤, 明彦, 山田, 昌彦, 三谷, 宣仁, 岩波, 宏, 山根, 弘康, 平川, 信之, 上野, 俊人, 白石, 美樹夫, 河野, 淳, 吉岡, 美加乃, 中島, 育子, 佐藤, 義彦, 間瀬, 誠子, 中野, 正明, 中畝, 良二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 29.03.2013
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ISSN1347-3549
DOI10.24514/00002059

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Summary:1.‘クイーンニーナ’は,果樹試験場安芸津支場(現農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において,1992年に「ブドウ安芸津20号」に‘安芸クイーン’を交雑して得た実生から選抜された,赤色の大粒ブドウである。2004年より「ブドウ安芸津27号」の系統名を付けてブドウ第11回系統適応性検定試験に供試し,果樹研究所を含む全国37か所の試験研究機関において特性を検討した。2010年4月に平成21年度農林水産省農林認定品種として登録され,2011年3月に登録番号20733号として種苗法に基づく品種登録された。2.樹勢はやや強い。系統適応性検定試験における発芽期および開花期は,‘巨峰’よりいずれも2日遅く,‘ピオーネ’よりそれぞれ1日および2日遅かった。満開~満開3日後と満開10~15日後にジベレリン25ppmに花(果)穂を浸漬処理することにより無核化生産できる。ジベレリン処理を行ったときの花穂整形労力および摘粒労力は‘巨峰’および‘ピオーネ’並みであった。3.系統適応性検定試験におけるジベレリン処理を用いた無核栽培での果実成熟期の平均値は‘巨峰’より7日程度,‘ピオーネ’より4日程度遅かった。果粒重は14.7gであり,‘巨峰’より3g程度,‘ピオーネ’より2g程度大きかった。裂果性は低いが,系統適応性検定試験では,場所,年次によりわずかに発生が認められた。脱粒性は‘巨峰’および‘ピオーネ’と同程度であった。糖度は平均21%程度であり,‘巨峰’および‘ピオーネ’より2%程度高い。滴定酸度は平均0.4g/100mlであり,‘巨峰’および‘ピオーネ’より0.1g/100ml程度低い。‘巨峰’および‘ピオーネ’に比べ,果肉特性はやや崩壊性でやや硬い。香気は良好なフォクシーで,渋みは一般に感じられない。日持ち性も‘巨峰’および‘ピオーネ’とほぼ同程度であった。4.東北以南の‘巨峰’栽培地域における栽培に適する。系統適応性検定試験では,‘巨峰’より耐寒性が弱いと評価されたが,積雪が多い地域においては凍寒害の被害はなく,‘巨峰’が十分に成熟しない地域においても酸度が低下した。‘巨峰’を対象とした慣行防除で特に顕著に発生した病害虫はなかった。
Bibliography:851947
ZZ20011205
ISSN:1347-3549
DOI:10.24514/00002059