ゴマ(Sesamum indicum L.)栽培の研究動向と多収条件に関する考察

日本におけるゴマ栽培は,栽培の機械化が遅れたことから衰退したが,近年の国内外における需要の高まりや,新規の収穫調製機械化技術の開発により,再び国内ゴマ栽培の機運が高まりつつある。しかし,国内におけるゴマの研究は食品加工分野で多く,栽培に関する知見は乏しかった。そこで,本総説では,ゴマ栽培に関する既往の知見の集積と分析により,ゴマを安定多収化するための条件を検討した。その結果,作期に関しては,生育初期の湿害の回避と,播種後60~90日の開花中期頃の日射量が重要であり,これを安定的に確保するためには,播種期の早期への拡大が重要であると明らかとなった。栽植密度については,日本の慣行よりも密植の200...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 90; no. 2; pp. 125 - 141
Main Author 丹野, 和幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.04.2021
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ISSN0011-1848

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Summary:日本におけるゴマ栽培は,栽培の機械化が遅れたことから衰退したが,近年の国内外における需要の高まりや,新規の収穫調製機械化技術の開発により,再び国内ゴマ栽培の機運が高まりつつある。しかし,国内におけるゴマの研究は食品加工分野で多く,栽培に関する知見は乏しかった。そこで,本総説では,ゴマ栽培に関する既往の知見の集積と分析により,ゴマを安定多収化するための条件を検討した。その結果,作期に関しては,生育初期の湿害の回避と,播種後60~90日の開花中期頃の日射量が重要であり,これを安定的に確保するためには,播種期の早期への拡大が重要であると明らかとなった。栽植密度については,日本の慣行よりも密植の20000株/10a前後が多収かつ,機械収穫適性にも優れる可能性が高いと考えられた。施肥に関しては,N:4~8kg/10a P2O5:6~10kg/10a K2O:2~3kg/10a程度を目安とした適正施肥や,積極的な硫酸根肥料の施用が重要であると考えられた。防除に関しては,雑草・病害虫の経済的被害を評価し,優先順位をつけるとともに,適用できる農薬の拡大が求められる。また,生育観察に基づく適期収穫や,育種による低温での生育能,耐倒伏性,病害抵抗性や耐湿性の向上も重要であると考えられた。
Bibliography:937840
ZZ00014890
ISSN:0011-1848